子どもといっても私の子どもではない。
これは私の母の話。母の唯一の子どもが私だ。
母はクヨクヨ悩むタイプ。自分の判断に自信がないらしい。年をとって顕著になってきた。
例えば検診。気になることがあって病院に行きたいけれど、最近は調子がいいから来年まで様子を見ようかな。でもやっぱり今年中に行った方がいいのかな。お金がかかるしどうしよう。
私の答えは「クヨクヨしながら一年過ごすより、とっとと行ってこい」。これしかない。
私がいつまでも余裕のない生活をしていることを母が嘆く。私は言った。
「過去を悔やみ、起きてもいない未来を怖がるのは無意味なこと。私はその時その時でベストの選択をしたのだからそれでいい」
母はいたく感心し、老いては子に従え、とはこのことだ。あなたは強い。と珍しく褒められた。
離れて住んで35年が経ち、互いが知らない経験を積み重ねてきた。ここまで来たらもう対等の関係だ。旧友なのだ。