息子が救急車で運ばれた。
案外私は冷静だった。
電話をくれた学校の先生の様子から、命に関わる問題ではないことはわかった。頭の傷は出血量が多いことも知っている。さらに私の仕事は中止できない。今から連絡しても子どもたち(生徒)はみんな家を出ているだろう。
救急隊員の方からの電話で手術の同意を求められ、必要なことは全てお願いしますと伝えた。すぐに行けないのだから、全てお任せするしかない。
仕事を終えて都内の病院へ向かう時も、コンビニに寄る余裕があった。落ち着くことが私の最重要課題。慌てて二次災害を引き起こす方が悲惨だ。
私が倒れてはいけない、事故を起こしてはいけない、私と息子だけの生活になるときに覚悟した。
残念だったのは太巻を夜のうちに食べられなかったこと。明くる日、冷蔵庫でカチカチになったのを食べた。
息子は無事だが額に大きな傷を負った。縫った跡が残るだろう。Vシネマで使ってもらえそうだ。