2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧
「星の子」2020年 辛くも愛に溢れた映画。 救いを求める人たちの救いようのない話、と言ったら言い過ぎか。新興宗教にハマった家族の話だ。 救いを求める人たちは得てして純粋だ。側から見れば幼稚にも滑稽にも見える。しかし本人たちは愛を拠り所としている…
「ミッドナイトスワン」2020年 邦画に興味はなかったのだが、家で作業しながらBGM的に流すには字幕がない方が良い。Netflixで適当に漁り、適当に流す。 ゴメン、こんなに感動するとは。 草彅クンの女装ばかりフォーカスされていた印象しかなかった。草彅クン…
傷つけられた言葉を思い出してはいけない。心に浮かべるだけで再び傷つく。私の言葉ではないのに。 繰り返し繰り返し思い出し、そのたびに傷ついた。家の中、車の中、ファミレスもスーパーもそれらは潜んでいた。顔を洗っているとき、料理をしているとき、楽…
あれからあの男には一度も会っていない。最初は電話をした。離婚の話だ。だが声を聞くと体調が悪くなる。相手が「泣く、怒る、脅す」ばかりで心が疲弊してしまったので、電話はやめた。 LINEも無視した。必要なことは私の母を経由し「今回はLINEを見て」と連…
深夜の警察騒動からの数週間、どうやって過ごしていたのかほとんど記憶にない。思い出そうとすると、畳の上に座り込んで一心不乱に編み物をしていた自分の姿が見える。 もう怒りもないし悲しみもない。恐れも悔しさも何もない。目の前のことを変わらずこなす…
車から毛布を出して羽織った。パジャマ姿に傘と引きちぎられたバッグ。惨めだったがもう引き下がれない。 警官たちの会議は続いた。このパジャマ女にたったひと言を言わせていいのかどうか。また暴れ出すのではないか。 私の見張り役の警官は、家に帰ったら…
死にたい衝動を止めるために、 暴言を吐くこの男を黙らせるために、 私は警察を呼んだ。不審者として取り囲まれたのは私だ。構わない。私が生き続け、あいつが黙ればいいのだ。 少し離れたところでは、あの男が涼しい顔をして別の警官と話をしていた。私の飲…