アタシの✖︎✖︎話

50代のなんやかや

反芻① 79/1000

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深夜の警察騒動からの数週間、どうやって過ごしていたのかほとんど記憶にない。思い出そうとすると、畳の上に座り込んで一心不乱に編み物をしていた自分の姿が見える。

もう怒りもないし悲しみもない。恐れも悔しさも何もない。目の前のことを変わらずこなすだけだ。心が死んでいたように思う。

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「今月中に」と言った、その月末が来た。あの日以来あの男とは初めて口をきいた。予想通りの言葉を発した。

「今は出ていけない。待って欲しい」

「じゃあいつ?」とすかさず尋ねたが、相手は黙り込んだきりだった。

あの惨めな夜、勇気を出して暴れて警察を呼んだのに、結果がこれだ。数週間この問題を避けていたに違いない。何が待って欲しい、だ。人をバカにするのも大概にしろ。

数日後、思いがけないことが起こる。

人生とは本当にわからない。あいつに単身赴任の辞令が出た。その日は私の父の命日だった。見えない力を信じるようになった瞬間だった。