「星の子」2020年
辛くも愛に溢れた映画。
救いを求める人たちの救いようのない話、と言ったら言い過ぎか。新興宗教にハマった家族の話だ。
救いを求める人たちは得てして純粋だ。側から見れば幼稚にも滑稽にも見える。しかし本人たちは愛を拠り所としているからか、何事にも動じない。
こんな世界で人生を全うできるなら幸せだろう。しかし現実はそうはいかない。
宗教にどっぷり浸かった親のもとに生まれた二世たちは、さまざまな価値観の中で成長し、あるとき疑念を持つ。主人公の姉は逡巡しながらも外の世界へ飛び立った。
姉の幸せを願いながら、両親の元にいることを選んだ主人公。大好きな人に傷つけられもした。迷い、苦しみもがき、彼女は強くなる。影の存在を知った愛はますます気高くなるのだ。
そしていつか…今は非力な存在の彼女が行動を起こす日が来るのではないか。彼女の愛は形を変えながら成長し、飛び立つときが来るのだろう。