台風の目 94/1000
西から東へ越してきたのは、コンピュータの2000年問題がにぎやかだった頃だ。
見知らぬこの地に越してくるには相応の理由と覚悟があった。その上で人生を賭け勝負に出た…と言うのは大袈裟だろうか。フリーランスで働く私には重たい決意だった。
そんな私を応援してくれる人が少なからずいた。私が一歩動くと周囲が十歩動くような気がした。私が円の中心にいてほんの少し向きを変えると、周囲はぐわんと回転するように感じた。
台風の目のようだった。
一介の主婦が弁先生に依頼するというのは、相応の覚悟がある。周囲にもそう思われているだろう。
私は人生を賭けている。子どもの将来にも関わる問題だ。
私が心からの言葉を発すると、たくさんの言葉が返ってくる。それは励ましや誰かの経験談や、有益情報だったりもする。私はそれらから愛情と力を得る。
相談も受ける。そこに私は心を込めて返答する。
台風の目は愛情を循環させるのだろう。