家の中はいつも張り詰めていた。
娘は心を閉ざし、自分を傷つけた。
息子は力を付け、いつでも闘う気持ちでいた。
家族の誰かが加害者になり、誰かが被害者になるのは時間の問題だと思っていた。
湖に張った薄氷の上を歩くような、あの時のあの緊張感。薄いカミソリでひと筋ずつ、魂に傷をつけられるような鋭い痛み、恐怖。
帰りたくない場所に帰らなければいけないのは、子どもたちも同じだったろう。
2人の子どもたちへ…
温かい家庭、愛情と信頼でつながった両親、固い絆で結ばれた家族になれなくて、ごめんなさい。でも信じてほしい。私は子どもが欲しくて生んだ。あなたたちと出会えて幸せだった。一生懸命に育てた。娘は思慮深く、息子は努力する人になったと誇りに思う。
常に「今」は通過点でしかなく、私たちはたまたま困難な道を歩いてしまった。だけど歩き続ければ必ず未来はやってくる。幸せになる道は自分で作れるのだと信じて欲しい。