突然、イヤな記憶が蘇ることがある。そのまま永遠の眠りについていればいいものを、何かのきっかけで私の体内で暴れ出す。
「こんな家族はもう解散だ」
理不尽な要求に抵抗している私たちが気に入らないのだろう。そんなことを何度か言われた。
子どもたちの前でも言った。ただでさえ親の言うことを聞かない、思春期の子どもたちだ。そんな酷い言葉を投げかけて一体何になるのだろう。
子どもたちも、今の私のように突然思い出すのだろうか。そう思うといたたまれない気持ちになる。
いつもの言い争いのあと、勢いに任せて私が口走ってしまった。
どうせ解散なんでしょ。解散って言えばいいじゃん。
あの男は猛烈に怒り、私を責めた。なんて酷いことを言うんだ、と。私は自分の衝動を抑えるのに必死だった。だから心の中で何度も何度も彼を殺した。
彼の中で一連の出来事は、私のひどい暴言で幕を閉じただろう。
だが私はこのことを絶対に忘れない。