学生時代、ヴェンダース映画にハマった。相変わらず記憶は曖昧だ。
ナスターシャ・キンスキーはこんなにも美しかったのか?
これは家族の愛の物語だったのか?
最後に泣いてしまったのは私が大人になったからに他ならない。おそらく、しょぼくれた父親に最も近い立ち位置だ。だがこれが最善の結末なのか。大人になると他の選択肢も見えるのだろう。
都会ですら荒涼とした風景の中で美しく輝くかつての妻、生命力に溢れる子ども。デジタルリマスター版? ヴェンダース映画は元から色褪せないのだ。
いつもは閑散としたキネカ大森にこんなにも人が…おかげで初の最前列の席だった。ひとつ空けた隣の席では大いびきの男性。上映中何度も殺意が沸いた。
同時上映は「テス」1979年。
予備知識ゼロ。文芸ロマン?アカデミー賞?なぜ??
救いのない話は苦手だ。どこに何を感じればいいのか。後味の悪い帰り道だった。