(ここを見てくれるのはどんな人なんだろう。私のことを知っている人なら、さぞかし驚いていることだろう)
ここでひっそりと吐き出すうちに、気持ちがスッキリしてきた気がする。だが忘れてはいけない。これはトラウマ案件だ。
久しぶりの駅に降り立ち、ある地名を見てしまった。その瞬間、体が固まった。動悸が早まり、足が震え出し、涙が込み上げてきた。
ここは鬼門じゃない。ただの地名だ。だが不快な記憶が蘇る。
はじめは月に1回程度だったと思う。電車がないから車で迎えに来いと、深夜の都心に呼び出される。たまのことだから気にならなかった。都心で運転するだなんて練習になると思ってたぐらいだ。
だが頻度が上がり週に3回も行くほどになった。拒否はできない。嫌味を言われ、怒られ、しつこく呼び出された。この状態が10年ほど続いた。私は自分の気持ちを押し殺して従っていた。子どもたちは私を引き留めたが、結局私は迎えに行った。